COLUMN
受動喫煙防止対策助成金で喫煙室をつくる|飲食店は2/3・上限100万円、工事の前に申請を
情報の確認日:2026年10月9日
「タバコを吸うお客さんも多いから、喫煙室は残したい。でも基準に合わせる工事は高い」。そんなお店向けに、厚生労働省の受動喫煙防止対策助成金があります。令和8年度(2026年度)分の申請は、2027年1月31日まで(予算がなくなれば早く締め切り)です。
まず結論
- もらえる額:喫煙室の工事費・設備費などの2/3、上限100万円(主な業種が飲食店以外のお店は1/2)
- 対象のお店:2020年4月1日より前から営業している、客席100㎡以下・資本金5,000万円以下の飲食店で、従業員を雇っていること
- つくれる部屋:「喫煙専用室」(紙巻きも可・飲食は不可)か「指定たばこ専用喫煙室」(加熱式たばこのみ・飲食も可)
- いちばんの注意:工事の発注・契約の前に申請が必要。交付決定(「助成します」という通知)を受けてから工事を頼みます
- 日程の注意:工事と支払いを終えて、3月31日までに実績報告(工事が終わった報告)を出せないと受け取れません
対象になるお店
この助成金は、2020年4月に始まった改正健康増進法(店内は原則禁煙というルール)のもとで、「既存特定飲食提供施設」にあたる小さなお店が対象です。次のすべてを満たす必要があります。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| いつからあるお店か | 2020年4月1日の時点で営業していた飲食店 |
| お店の規模 | 客席の面積が100㎡以下、資本金5,000万円以下(大きな会社の子会社などは除く) |
| 会社の規模 | 飲食店は、常時雇う従業員50人以下か資本金5,000万円以下のどちらか |
| 従業員 | 労災保険(仕事中のけがの保険)に入っている、つまり人を雇っていること |
| 店内のルール | つくった喫煙室以外の屋内(屋根があり、壁がおおむね半分以上ある場所も含む)は禁煙にすること |
個人経営のお店も、人を雇っていれば対象です。テナントのお店も、大家さん・管理会社と工事の調整ができれば対象になります。フランチャイズの加盟店も条件を満たせば対象です。
ひとりで営業しているお店は?
従業員がいないお店はこの助成金の対象外です。手引きでは、労災保険に入っていない生活衛生関係の営業者(飲食店など)は、別の「生活衛生関係営業対策事業費補助金」の対象になる場合があるとされています。当てはまるかどうかは、手引きに載っている厚生労働省の担当課か、お近くの労働局に確認してください。
2種類の喫煙室
| 喫煙専用室 | 指定たばこ専用喫煙室 | |
|---|---|---|
| 吸えるもの | 紙巻きたばこ・加熱式たばこ | 加熱式たばこのみ |
| 部屋の中での飲食 | できない | できる |
| 部屋の基準(共通) | 入口で外から中へ向かう風が秒速0.2m以上/壁・天井で区切って煙が漏れない/煙を屋外へ出す | |
風の強さは、工事のあとに入口の上・中・下の3か所で測り、すべてで基準を満たす必要があります。扉を開けきった状態で満たす設計にすること、エアコンや空気清浄機を動かした状態で測ることも決められています。
対象になる費用・ならない費用
- 対象:喫煙室の工事費、換気扇・排気ダクトなどの設備費、扉、基準を確かめる測定の費用など。エアコンは必要性が認められた場合のみ
- 対象外の例:テレビ・音響機器・絵・観葉植物・机や椅子(固定式も)、喫煙室の手前の部屋(前室)、他の法律の手続きの費用、リース・分割払い(助成事業が終わる日までに全額支払う必要があります)
- 喫煙室の工事と店内改装を一緒にする場合は、喫煙室の分だけを分けて見積もってもらいます
1㎡あたり60万円の目安
喫煙室の広さ1㎡あたりの費用が60万円を超えると、特別な理由がない限り「60万円×広さ」までしか対象になりません。広さは壁の内側で測り、使う人数に見合った大きさにする必要があります。
モデルケース(試算):飲食店が喫煙専用室をつくる場合
| 3㎡・工事費120万円 | 2㎡・工事費150万円 | |
|---|---|---|
| 1㎡あたり | 40万円(目安内) | 75万円(目安超え) |
| 対象になる費用 | 120万円 | 2㎡×60万円=120万円 |
| 助成金(2/3) | 80万円 | 80万円 |
| 自分で負担する額 | 40万円 | 70万円 |
架空の例です。金額は税込みで計算し、消費税の課税事業者は、あとで消費税の控除分を返す手続きがあります。実際に対象になる金額は労働局の審査で決まります。
申請から入金までの流れ
- 見積もりを2社以上からとる:排気装置・扉など性能に関わる部分は同じ条件で比べます。この時点では契約しない
- 都道府県労働局に交付申請:お店がある都道府県の労働局(労働基準部 健康安全課または健康課)に書類を正副2部。締切は2027年1月31日ですが、「受理」は不備のない書類がそろった時点なので、先に相談するのがおすすめです
- 交付決定の通知を受け取る:書類がそろっていれば、提出からおおむね1か月以内
- 工事の契約・工事・支払い:交付決定の内容どおりに工事し、全額を支払って領収書と内訳をもらう
- 実績報告:風速の測定結果などを付けて報告。3月31日までに完了が必要
- 請求書を出して入金
申請の締切は1月末でも、審査に1か月ほどかかり、そのあと工事と報告を3月末までに終える必要があります。予算がなくなれば早く締め切られることもあるので、年内には申請を出すくらいの気持ちで動くと安心です。
もらったあとに気をつけること
- 5年間は勝手に撤去・転用しない:喫煙室をなくす、お店を閉める・譲るときは労働局への手続きが必要で、残りの期間に応じて返金を求められることがあります。テナントを5年以内に出る場合も同じです
- 毎年の報告:5年後までおおむね1年ごとに、使い方などの報告を求められます
- 確定申告:助成金は収入として扱います。設備の扱いは補助金をもらった年の確定申告をどうぞ
「助成金で喫煙室がタダで作れる」という勧誘に注意
厚生労働省も、「国の助成金を使えば無料で喫煙室を設置できる」と業者から勧められたという情報があるとして注意を呼びかけています。助成金は費用の一部(最大2/3)で、全額ではありません。また、申請書を業者が実質的に作り、お店側が内容を理解していなかったことが問題になった例もあると、厚生労働省が注意しています。
この助成金の募集情報は令和8年度 受動喫煙防止対策助成金のページにもまとめています。補助金の基本的な流れははじめての補助金:申請から入金までの流れで説明しています。
出典
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